第180章

オフィスの中は、重苦しい空気に沈んでいた。

前田美咲はコーヒーを両手で包むように持ったまま、口をつける気にもなれない。眉を寄せて、ぼそりとこぼす。

「……あの人、どこ行っちゃったんだろ」

青山大輔が少し考え、肩をすくめた。

「俺は二択だと思う。罪悪感で逃げたか、俺らに顔向けできなくて消えたか」

「結局『逃げた』ってことじゃん。少しくらい、いいほうに考えられないの?」

美咲はその言い方が気に入らない。同じ女として、遠藤凛が皆を置いて一人で逃げ出すなんて、どうしても信じたくなかった。

「じゃあ今、どういう状況なんだよ」青山は鼻で笑う。「世の中そんな都合よくできてないって。遠藤が逃げ...

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